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ゴルフクラブのお話〜ウェッジ編(考え方)⑨〜

みなさんこんにちは。

今回もウェッジ編⑨として引き続き「バンカー」についてです。

どうぞ最後までお付き合いください。

 

【前回⑧のあらすじ】

 

前回の⑧では『バンカーのみオリジナル解釈』になってしまうプレイヤーは、なぜゴルフクラブの「ヘッド」を振り上げられないかを考察いたしました。

深重心&低重心のハイテククラブにより、知らず知らずのうちに「ロフト角インパクト」のスイングイメージが蓄積され、ボールに高さを出すのに有効な「重心」や「遠心力」を意識することなく、難局以外は出すだけなら出せてしまうから、ではないかと。

それにより必要以上にインパクトを凝視しようとしてしまい、結果プレイヤーの視界が少しずつ狭くなり、そしてまたゴルフクラブの「ヘッド」を振り上げないという循環に、というところまできました。

 

【その情報は肉か骨か】

 

少し話が逸れます。

ゴルフの情報は肉と骨しかないと考えています。

それからこれは個人的にですが、ゴルフは自然の中で行われる競技、しかもコートやスタジアムではなく、回るコースが一定ではないという最大の特徴があるので「考え方や動きに幅がある」とも考えています。

ですのでスイングやクラブに関する情報について、悪意がある場合を除いては、どれであっても「正」です。

信じるものが人によって異なるだけで、何も信じていないなんていう人はそういないのではないでしょうか、少し大袈裟ですがそれと同じだと考えています。

ゴルフのいいところでもあります。

その上でさらに、情報が自分にとって「肉(応用あるいは少し先)」なのか「骨(基本あるいは今すぐ)」なのかを主体的にジャッジできればその情報はもっと有用なものになります。

 

【動作が滑らかな人はおしなべて視界が広い】

 

話を戻します。

スイングに関する情報として、最近のトレンドと言われているものがたくさんあります。

反面張力や掌屈、どの感覚機能を使ってスイングするタイプかや、4スタンス、ジャイロ、シャローイングなどなどたくさんあります。

最近ではデシャンボー選手の肉体改造による飛距離アップが話題です。

(個人的には今年の全米オープン覇者になったデシャンボー選手についてというより、全米オープン2連覇達成のケプカ選手の登場で「アメリカゴルフ」のすごみを勝手に感じましたが、だけれどもあのパターはどうなのかと思っていた矢先、3連覇がかかる翌年のペブルビーチでの全米OP最終日のバックナインでバーディーチャンスをショート、対してパットを確実に決めていったウッドランド選手の優勝を見てなるほどと思ったのも束の間、この選手もアメリカ選手。今年の全米OP2位に入ったウルフ選手も個性的な打ち方ですがこのプレイヤーもアメリカ選手。アメリカのナショナルオープン競技とは言え、毎年繰り広げられる全米OPでの「アメリカゴルフ」をみては「フィジカルとメンタルの強さ」に加えてのゴルフゲームの深さに舌を巻いている次第。)

一方で、トップの形や下半身の使い方、体重移動の仕方など古からずっと言われ続けているだろう情報や問答もあります。

 

古今東西行われてきている机上でのゴルフスイングに関する「肉」の話ではなく、「スイングする」というスポーツ動作の「骨」の話として、使える視界が余っているや目を使って一点を凝視する、などは単純に考えて、動きが制限されそうでやはり少しもったいないですよね。

ゴルフスイングに限らず、どの競技でもそうかと思われますが、滑らかな動作の選手は視界が広いだろうし、視界が変わること自体を怖れていないでしょう。

 

【「視界」を意識して使っていく】

 

前回、「バウンス角を使って縦に振り抜きバックスピンをかける」と書きましたが、これはゴルフクラブの「ヘッド」の動きの説明です。

対して、「バンカーショットは砂の表面を薄く削り取りながら水上スキーのように滑って、ボールの下を潜り抜けるというものであり、決して、ボールの手前に打ちこまれたヘッドが砂を飛ばし、その砂がボール弾き飛ばすのではありません。」など、バンカーはクラブヘッドを滑らせるのであって、決して打ち込まない、払うように打ちます、なども書かれます。

 

これらを読まれて「どっちなんだ」と混乱してしまう、あるいは前回の時点で既にされていたかもしれませんが、この表現のちがい、前者はクラブの「ヘッド」、後者は「視界」の話です。

バウンス角を使ってクラブの「ヘッド」を縦に振り抜くことでバンカーからのショットはバックスピンがかかりますが、特に高さを出していきたい時は「視界」、つまりプレイヤー側から見たボールの見え方は通常のショットより上からというより、ボールを上げる時は右利きの方だと、ボールは通常より左にセットされている、つまりボールがいつもより遠くなる分、スイング中はボールが斜めから見えます、ということと言えるでしょう。

簡単に書けば、バンカーショットは突っ込んだらあまりいいことない、という話です。

 

ですが、この「視界」は身体の動きというより心の動き、つまりメンタルと直結していると考えています。

「斜めから見ながら縦に振り抜く」など言われても、怖い、自信がない、イメージが出来ない、などの理由から、ボールを不必要に見てしまう、インパクトをしっかりと見ようとしてしまい、十分なバックスイングが出来ない、バックスイングが浅いとボールは弱くしか飛び出しません。

これでは足らないとダウンスイングで慌てて腕を使いすぎてしまい、一気にスタンスの方向にクラブが振り抜かれ、つまり横にクラブを振ってしまい、バウンスではなくフェイスから入ってしまい、ダフるもしくはホームラン‥などなど。

 

このようなところにゴルフのスイングの説明をする、それからその説明を聞く、双方の難しさがあります。

 

【ゴルフの練習と一口には言うけど】

 

手元に一冊の本があります。

個人的にゴルフに関する記事や著書を何でも読むのが好きですが、記事よりも圧倒的に本で読む方が好きです。

理由は記事だと短いですが、本であれば著者の言いたいことがこれでもかとふんだんに書かれているからです。

また、プロの方が書かれたものはもちろん、ゴルフをお仕事にされていない方の本を読むのも好きです。

タイトルなどを見て面白そうであれば何でも読んでいきます。

そして、今回のウェッジ編を書くにあたり一冊の本を思い出し、読み直していました。

その最初のページ「はじめに」の箇所でいきなり、「これまでのレッスン書でよく見られる間違いの一部」とあり、「クラブを振るのは腕だと思っていること。そのためか、右手あるいは左手一本でボールを打つ練習をさせたりする。」

最初のページだったのでひっくり返りそうになりましたが、この本をよく思い出したな、と。

 

先述した通り、発信側に悪意がない場合はどのような情報も正と考えます。

今手元にある著書の中のようにはっきりと「間違い」と書かれていても、です。

おそらく何かがあったのでしょうし、繰り返し出てくる「間違い」の文字を読んでは都度、せつない風が胸の中で吹きますが、著者にとって、こう書かずにはいられないよほどのことがあったことは想像に難くありません。

 

今回はここまでです。

次回はウェッジ編⑩に加えて、ゴルフの練習についても少し述べたいと考えています。

もし、今まさにバンカーショットでお悩みの方がおられましたら、打ち方はいつものままで「遠い視界を使うダウンスイング」を少しだけでも意識して練習してみてください。

ゴルフスイングが見た目よりストレッチされた動作だと実感頂けるのではと考えています。

 

さて、先週は米国女子ツアーのメジャー第3戦、「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」がアロニミンクGC(ペンシルベニア州)にて行われました。

この間の全米オープンの時もでしたが、アメリカツアーを経験された男女の先輩プロたちの温かくも深い記事を拝見し、男子では松山英樹プロ、女子では畑岡奈紗プロの高く積み上げられていく挑戦がどのような形となって結実するか本当に楽しみです。

来月はマスターズ、12月には全米女子オープンが開催予定です。

国内の男女ツアーと合わせて今年なりのゴルフのシーズンが盛り上がっていってほしいです。

それでは今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。

2020/10/12        bridge   |