「教授」こと坂本龍一氏の個展、『音を視る 時を聴く』に行ってきました。
会場前の写真を見て、その事実はとっくに知っているはずなのに、
「ああ、ほんとにいなくなってしまったんだなぁ」って実感が湧いてきて
認めたくないって思いました。
全部で12個あるインスタレーションはどれも不思議で心地よい空間に誘ってくれるものでした。
どデカいスクリーンに映像と朗読の声と英語と中国語の字幕が出て、時間の流れをあらわすもの、
天井から雨が水盤に落ち雨を降らせて水面の形が変化していくもの、NY時代のスタジオの風景を大画面で流していくもの等々。アーカイブコーナーでは、教授直筆のノートに見入りました。
特に感動したのが、『Is your Time』という作品。
東日本大震災で津波に遭った宮城の高校のピアノに教授が出会って、
「自然というものに調律されたピアノ」という認識で作品としたものです。
一音ずつ響く音に、見る人それぞれの思いが会場中にあふれていました。
そしてラストはこれしかない、と順路を変えて見た、『Music plays Images × Images play Music』。
一台のピアノと大きなガラスのスクリーンがあり、ガラスに映った教授がピアノの前に投影されて、
自身がピアノを奏でているように見えるもの。
私は最初の一小節を聴くだけで条件反射的に鼻の奥がツンとして涙が出てしまう曲があり、
その一つが「シェルタリングススカイのテーマ」なんです。
シェルタリングスカイを奏でる教授の姿を見ながら曲を堪能しました。
教授、素晴らしい音楽を、音を、芸術をありがとう。