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ソフィスティケートを教えてくれた

気づけば1月が終わり、2月に入ってしまいました。
今月末、新宿のバーニーズ・ニューヨーク新宿が閉店します。
昨年の豊島園閉館に続く淋しさです。

30年前、新宿にバーニーズができたときにはワクワクしました。
雑然とした雰囲気が魅力の新宿ではありますが、
白い、入り口ドアの幅が広い、その建物が立つ角地は、
新宿ではなく、もはや日本でもない、ニューヨークを感じるものでした。

ダークスーツに白手袋のドアマンが扉を開けてくれて、
細いエスカレーターで上に上がっていく時は緊張と好奇心が
混在する気持ちだったことを思い出します。

当時、「ソフィスティケートされた」、「ソフィスティケイテッドな」という
言葉がメディアで多用されていました。使われすぎて何がソフィスティケートなのか
わからない状態の中、ソフィスティケートはバーニーズに有り、と確信した記憶があります。

自身がおしゃれ大好きな時期であったことと、時代の勢いも手伝って、
パトロールも含めて月に3-4回は通っていました。
ショーウィンドウのディスプレイもいつもかっこよくて、
それを見逃したくないというのもありました。
テレ東のファッション通信で見ることしかできなかった洋服や靴たちが
目の前で見られる幸せ、人が服を選ぶのではなく、服や靴が人を選んでるのよ、
と言わんばかりの圧倒的なエネルギーを感じました。

重なる色彩の絶妙さにため息のドリス・ヴァン・ノッテン、
斬新かつ優しさにあふれるデザインのマルタン・マルジェラ、
アズディン・アライアの服や靴は、まるで美術館で塑像のような
立体的でシンプルかつ美しいデザインで、それを心ゆくまで見ることができる環境がありました。

しばらくして我に返って、「さて私は何が欲しいのか?」自問自答し、
悩みに悩んで、決断して購入するまでのプロセスが何よりも楽しかった。

バーニーズの隣にあった、CHARIVARIにはしごすることもありました。
シャリバリは数年のうちになくなってしまいましたが・・・・

時が過ぎ、おしゃれ盛りの時期も過ぎ、バーニーズからは足が遠のきましたが、
大事な人へのプレゼント選びで迷った時には回ることも多かったな。

セレクトショップという言葉がまだ珍しい時代でしたが、
選ばれた商品を自らが選ぶことができた素晴らしい場所でした。
ファッションが文化であった時代がとうとう終わってしまったという気持ちです。

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2021/02/01        002   |