はじめてその人を見たのは中学に入った頃でしょうか。
当時、週末は学校の映画好きの友達と一緒に、新宿三愛ビルの武蔵野館に映画をよく見に行きました。1Fでデイリークイーンのキャラメルソフトクリームを食べるのも楽しみでした。
当時、「怪傑ライオン丸」というヒーロー物のテレビがあり、その扮装をしている人だと思っていました。
友人との会話にも、「新宿行ったらレインボーのタイツにライオンのお面を付けて自転車に飛行機乗りしてる人見た。ラジカセ持って、大量の新聞を荷台に積んでいた。」と頻繁に出るようになり、情報にブレがないことから、歌舞伎町一帯の新聞配達をしている人だということがわかりました。見るとラッキーな事が起こる、とか都市伝説も生まれました。

私の遊び場は新宿が主だったので、高校、大学、社会人、と時代とともにその人は常に歌舞伎町に居ました。
お面もピンクのかつらもバージョンアップされ、シンプルだった自転車にはぬいぐるみが沢山つけられ、どんどんデコラティブになっていき・・・・今に至る、です。

通算すると3回、エレベーターの中で二人きりになったことがあります。
すべて映画館の入っている雑居ビルのエレベーターです。
そのうち１度だけ、その人の声を聴いたことがあります。
「どうぞ」と言って、「開」のボタンを押していてくれました。

現在、御年71歳だそうです。
3/22から、その人のドキュメンタリー映画が公開されるそうです。
http://shinjuku-tiger.com/

新宿の映画館は、以前の怪しさはみじんも感じさせないくらい、
皆きれいになってしまいました。トイレも増えて混雑もなくなりありがたい限りなのですが、きれいすぎて新宿らしくなくて、ちょっと寂しいです。

汚くて怪しくて、ポップコーンとシャリシャリのモナカアイスしか置いていない
映画館でその人の映画を見てみたかったな。