「世の中には2種類の男しかいない。 俺か、俺以外か」というカリスマホストの名言がありましたが、私が思う2種類は、「おねえさん(もしくはおにいさん)と言える人か、それ以外か」でした。
若い頃、料亭、居酒屋等お食事処に行くと、お客さんが明らかに自分より年上と思われる店員さんに向かって、「お兄さん、注文いいですか」、「お姉さん、生ビール追加で」と声をかけている様子を見て、最初はびっくりしました。
でも、そういう場面にたびたび遭遇するうちに、声がけした後にお客さんと店員さんが和やかに会話している姿があり、メニューを見てるだけでは出てこないようなお勧め品を紹介してもらっていたり、何気ないちょうどいい尺の会話をしている様子を見て、「粋だな。自分ももう少し年齢を重ねたらこんな風にできようになるかな。」と思うようになりました。
オニオネ呼びする理由は、まずなんて呼んだらいいかわからないからでしょう。
居酒屋さんだと「ゆうじ、神奈川県出身、みずがめ座」などの情報を書いた名札を付けている場合もあります。だとしても、「ゆうじさーん」とは呼べません。
が、出身地情報等から客とその店員さんの話は弾むのかもしれない。
そして、ちょうどいい距離感の演出。
そんなことを考えていた時期から年月が経ち、あきらかに店員さんより自分が年高になってからも、
私はお兄さん、お姉さん、ということができませんでした。
そもそも私は、入店時に店員さんのあいさつが、「いらっしゃいませ」から、「いつもありがとうございます」に変わった瞬間に、急に緊張してしまうタイプ。
どうしてもその店が好きだから必然的に常連になってしまうだけなので、オニオネ呼びなんて所詮できるわけない、ということに長い時間をかけて気づいたわけです。
やっぱ、声大きめで「すみませーん」が万能だよ。
まあ、今の世の中、店員さんが不愉快と感じれば、カスハラになるのでしょうし、そもそも、声がけなどしなくても呼び出しブザーはあるし、アプリで注文だし、客は店員さんと話す必要もなくなったんだよな。それはそれで淋しい気がしますが。